loading...
#青いぜ五島列島
この島は厚い信仰が息づく祈りの島だ。
中通島はクルス(十字架)をかたどるように、東西南北それぞれに細長く広がる地形。
入り江に次ぐ入り江、そのむかし迫害から逃れてきた
潜伏キリシタンが身を潜めるのには適していた。
平地が少なくどの道を通っても左右どちらかに海を臨む。
耕作地として適していないため、島の人は知恵と工夫と努力により、
慎ましく祈りを捧げながら力強く生きてきた。
その想いは青く澄んだ海のように純粋だ。
そんな想いに驚かされ、癒される瞬間がある。
「沈黙と情熱のリゾートアイランド・上五島」を体験しよう。
1
2
3
4
5
6
7
遠浅の白砂がどこまでも続き、その海の先までも歩いていける気がする。景色を眺めているだけでも心が洗われるような美しさだが、夏はもちろん海遊びをしよう。まわりをぐるっと山に囲まれた入り江のビーチは、波の影響をほとんど受けずに穏やかに過ごせる。7月には海開きイベント「蛤浜で遊ぼデー&白砂の芸術祭」が開催され、待ちに待った夏の到来にはしゃぐ子どもたちの姿とともに白砂で形作られたさまざまな砂像がビーチを賑わす。シーズン中は売店、シャワーやロッカーなどを完備するビーチハウスがあり便利。遊び疲れた時に休憩する日陰があるのも安心。「快水浴場100選」と「新観光100選の地」にも選定されている、一日中楽しめる最高の遊び場。
長崎の英国商人グラバーから購入した洋型木造帆船ワイル・ウエフ号が薩摩への航海の途中で暴風雨に合い、亀山社中の同志たちを乗せたまま上五島の江ノ浜・潮合崎沖で遭難。龍馬が弟のように可愛がっていた池内蔵太をはじめとする12名が若くして海へと散った。知らせを受けた龍馬は寺田屋事件で受けた傷を薩摩で療養していたが、その後この地を訪れ、自ら碑文を書いて土地の庄屋に慰霊碑建立を依頼したといわれている。同志たちへの鎮魂の祈りとともに、青い海に向かって一層強く維新を誓ったであろう場所。また龍馬が書いたといわれる碑文と遭難者名を刻した墓碑は、今も江ノ浜の共同墓地に、地元の人々によって大切に祀られている。
2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「頭ヶ島の集落」に建つ教会。対岸の島などから切り出した石を信徒たちが船で運んで積み上げ、約10年の歳月をかけて完成。1919年創建当時の姿を完全に保存しながら現在も使用されている。山間の小さな入り江にこれほど見事な教会が立っていることに驚く。当時の人々が弾圧から逃れてひっそりと生活をしながらも、強い思いで信仰を守り続けたことを感じさせる。その荘厳な外観とは対照的に、内部は柔らかい色使いと花などの装飾がかわいらしく、親しみを込めて“花の御堂”とも呼ばれる。国指定の重要文化財。目の前の海辺にはたくさんの十字架が立つキリシタン墓地があり、濃いピンクのマツバギクが咲き乱れる春は尚のこと異国の匂いを漂わせる風景。
幹回り約12m・高さ約25m、地上7mのところから根っこが二股に分かれ、幅2mの参道をまたぐように根を張る樹齢650年超のアコウ樹。それはまるで天然の鳥居のようで、両足で地面を踏ん張るように力強く堂々と立つその姿は「樹の下をくぐると長生きする」「パワースポット」と噂されるのも納得の生命力を感じる。枝葉もよく茂り、枝張りの面積はなんと約200坪にも及ぶという樹勢の旺盛さ。根にはたくさんのおみくじが結びつけられていて神聖さを増している。国指定の天然記念物。アコウは、アコギ、アコウノキなどとも呼ばれ、亜熱帯地方に自生するクワ科イチジク属の植物。暖地性植物のため、日本では沖縄や本土では西南地方の一部の海辺に見られる。奈良尾神社も港から近い場所に位置している。
県道32号線沿い、坂道の途中の高台にある「白草公園」は、雄大な東シナ海に沈む夕陽と複雑に入り組むリアス式海岸、そして対岸の矢堅目にある円錐形の奇岩が絶妙に配置された絶景スポット。陽が沈む数分間は、上五島ならではの変化に富んだ海岸線が影を落とし、空も海も一体となってオレンジ色の波が押し寄せるセンチメンタルでスイートな時間。この島に来て、光と影の饗宴を見逃すことなかれ。また奇岩を間近に見ることができる「矢堅目公園」は奈摩湾入口の岬の先端にあり、東シナ海と小値賀島を臨む展望公園になっている。黒潮と対馬海流が同時に流れ込むため、潮の流れがぶつかり合ってできる複雑な波形が見もの。湾に沿ってぐるっと巡るなら、「青砂ヶ浦天主堂」や「冷水教会」などに寄り道しながらドライブするのがオススメ。
稜線に沿う形で高台に位置し、中通島では唯一、水平線から日の出と日の入りの両方を望むことができる立地。もとは国民宿舎だった建物を全面リノベーション。真っ白で光が美しく射し込む館内は、シンプルかつクラシカルな洗練された雰囲気。素朴ながらも上質な空間だ。従業員はみな島出身者。客室数は島にある教会の数と同じ29室。またレストラン「空と海の十字路」は五島列島でとれる食材を使った“島育ち”のこだわりイタリアン。朝食は宿泊者だけのお楽しみだが、ランチ・ディナー共にレストランのみの利用もできる。源泉かけ流しの天然温泉にも立ち寄り可能。週末はレストラン内にパン屋さんがオープンし、朝早くから地元の方も買い物にやってくる。島の人に愛され、島の魅力がぎゅっと詰まっているホテル。
中通島と若松島の間に架かる若松大橋の付近一帯、南北約15kmに渡る海峡。青く澄んだ海に点々と浮かぶ小島と、複雑に入り組んだリアス式海岸により形成される風光明媚な景観は西海国立公園に指定されている。この瀬戸を海上から間近に楽しむことができる遊覧船は、若松港から出発し、大小の船が行き交う様子や養殖イカダを横目に、季節の色と風に揺らぐ自然のドラマチックな景色をぬって進んで行く。明治のキリシタン迫害の際にカトリック信者が隠れて暮らしていたという、船でしか行けない険しい断崖の洞窟と、海辺の高台に建ち、水面に映る姿も美しい桐教会を訪れる約1時間のクルーズ。
遣唐使により大陸から伝わった“日本のうどんのルーツ”と言われる。打ち粉の代わりに五島の特産品である食用の椿油を練り込んだ麺はツヤがあり、コシの強い細麺で滑らかな食感。定番の食べ方はぐつぐつたぎる鍋から直接いただく“地獄炊き”。実は五島列島の中でも五島うどんの製麺所はほとんどがこの島にある。29もの製麺所にはそれぞれ特徴もあり、各家庭でご贔屓があるというので、好みの麺を探すのも楽しい。有川港からすぐの場所にある「五島うどんの里」には島特産のお土産品が揃う観光物産センターが隣接し、多くの製麺所から出揃う五島うどんを見比べるもよし、買い占めてもよし、お土産選びに迷うのも楽しい。
江戸時代から明治時代までの捕鯨が盛んだったころ、鯨見山山頂の山見小屋には見張りが置かれ、鯨が湾に入ってきたことを知らせたり出漁の合図などを行っていた。見晴らしがよく、透き通った海や有川の町並みもよく見える。海童神社は捕鯨で栄えた有川地区を代表するもののひとつで、もともとは小島だったという場所に海童を祀り、ナガスクジラのあご骨を使ったユニークな鳥居が建つ。あご骨から想像するクジラ全体の姿は、想像以上の大スケールで驚くだろう。有川港多目的ターミナル内の「鯨賓館ミュージアム」には、鯨の泳いでいる姿を見ながらリラックスできるミニシアターや、捕鯨について紹介するアニメーションや道具の展示もある。鯨に魅せられた歴史と文化を体感してみよう。
五島列島のある東シナ海は世界でも有数の大陸棚が広がり、恵まれた漁場。黒潮から分かれた対馬海流がさまざまな海流とぶつかりあいながら五島列島沿いを流れていくため多種多様な魚が回遊し、年間を通して100種類を超えるという活きの良い魚が水揚げされる。身の引き締まったアジやサバ、ブリ、キビナゴ、アオリイカ、アラ、牡蠣やナマコ。そして“黒いダイヤ”とも呼ばれ希少価値の高い黒マグロの漁場も近くにある。郷土料理である“かっとっぽ”と呼ばれるハコフグの味噌焼きを見つけたら是非食べてみてほしい。また現在でも鯨料理が食文化として受け継がれているので挑戦してみよう。寿司屋はもちろんのこと、居酒屋やスーパーでも充分感動するレベルの高さ。この新鮮さは青い島々ならでは。島で穫れる旬の魚をぜひとも味わいつくしてほしい。