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#青いぜ対馬
島の面積の89%を森林が占めるという
「脅威のワイルドアイランド・対馬」
の青は、深い青。
遥か10万年前、当時陸続きだった大陸から渡ってきたと考えられる
ツシマヤマネコや、かつての姿を今なお色濃く残す原生林。
日本文化の源流は、この国境の島の鎮守の森にある。
また、随所に残る遺跡や歴史的建造物からは、
古くから大陸との国交と攻防戦を繰り返した歴史が見え隠れする。
遺跡巡りにトレッキングやシーカヤックでの探検。
この島ならではのアクティブな過ごし方で、古来よりの大自然と悠久の歴史を体感しよう。
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対馬の中央に位置する浅茅湾は複雑なリアス式海岸。多くの入り江と小島を有した独特な地形と、真珠の養殖地として有名な美しい海が織りなす青と緑の景観を標高176mから一望できる。周囲に高い山がないため、晴れた日の360度クリアな絶景は言うまでもなく、霞がかかると幻想的で他に類をみない見事な風景を作り出す。浅茅湾を周遊する観光船を眺めながらのんびりと過ごす時間はいつまでも飽きることがない。また浅茅湾の景色をより手軽に楽しめる万関展望台は、国道からすぐの小高い丘にある。眼下に見える鮮やかな赤の万関橋は、1901年、旧日本海軍が艦船を通すために開削した人工運河に架かる3代目の橋。もともとは1つだった上下島を結ぶ美しい橋と万関瀬戸のダイナミックな景観も必見。
彦火火出見尊と、古事記に登場する女神・豊玉姫命の夫婦を祀る海宮。海から本殿へと一直線に並ぶ5つの鳥居が特徴的で、うち2つは海中に建ち、潮の満ち干きによりその様相を変える。大潮の時期に満潮を迎えると境内の社殿近くまで海水が到達することもあり、神話の“龍宮”の世界を想起させる神秘的な雰囲気を漂わせる。干潮時には海中の鳥居が露出し、海の向こうまで歩いていけそうな幻想さえ抱く。また全国的にも珍しい「三柱鳥居」が社殿横と境内池の2ヶ所にある。大陸航路の要衝であり、国防の最前線でもあった対馬には、航海守護や武神などの古い神々が鎮座し、古神道の源流のひとつとされている。中でも航海守護・安産・豊漁など庶民にも身近な神徳がある豊玉姫は、特に重要視され親しまれてきた。
対馬南部にそびえる標高519mの霊峰。九州百名山に名を連ねる対馬第一の名山であり、特徴的な石英斑岩の双耳峰は対馬のシンボル。対馬は島の大部分が壱岐対馬国定公園に指定され、大陸系植物と日本系植物が混生する貴重な植生と、原生林とともに国指定天然記念物の動植物の生息地になっている。熊・猿・キツネやうさぎといった本土の普通種は一匹も生息せず、ツシマヤマネコやツシマテンなど大陸系生物が分布する独特の生態系。希少な動植物が多いので、自然に足を踏み入れる際は充分に注意を。島をよく知るガイドの案内で手付かずの自然に会いに行こう。「対馬野生生物保護センター」では絶滅危惧種に指定されているツシマヤマネコの調査・保護と一般公開もされている。
667年、浅茅湾南岸・標高276mの城山に築かれた金田城。当時、国境の島・対馬は極度の軍事的緊張が漂い、大陸からの侵攻に備えて防人たちが山頂から朝鮮半島を睨み続けたと言われている。それから1000年以上もの時を忘れられたまま過ごした後、日露戦争前夜という国際情勢の中で再び要塞として整備され、巨大な砲台が据え付けられた。1300年前に大和朝廷が築いた古代山城と、100年前に旧日本陸軍が建設した近代要塞が並存し“国防の最前線・対馬”の歴史を物語る、国指定の特別史跡。石垣などの防塁はほぼ一周するように残され、他では見ることの出来ない景観。山頂付近までは遊歩道が整備され、穏やかなトレッキングコースとなっている。
豊臣氏朝鮮出兵の際に朝鮮への経由地とした築城された清水山城。切り立つ稜線上に本丸・二の丸・三の丸と地形に沿って階段状に築かれ、本丸とされる頂上付近の郭からは壱岐まで見渡せる。規模は大きくないが、歴史的にもその構造上からも価値が高く、国の史跡に指定されている。 厳原地区は対馬の中心地として古くから栄え、清水山城の麓にもかつて藩主の居城・金石城や桟原城があり、城下町の名残の石垣が随所に見られる。また河口に人工の入り江を構築して設置したお船江跡は、満潮時には木造の大船が出入できる程の広さと深さがあり当時の壮大な規模を語っている。現在、正門・倉庫・休息の建物跡も残っており、築堤の石積みが当時の原形をこれほど保存している所は他にない。県指定の史跡。
対馬最北端にあり、晴れて空気の澄んだ日には朝鮮半島を望む。九州本土からは132kmの距離があるのに対して、韓国・釜山までは49.5kmと近い位置にあり、隣国の風景を肉眼で見ることができる。展望台の建物は地理的にも歴史的にも深い関係にある韓国の古代建築様式を模している。 “青潮”というのは、透明度が高く青の深い色合いをなす対馬暖流の愛称だ。暖流に乗って吹き抜ける風は温暖で湿潤。ゆえに対馬の森は力強く深く形成され、今なお原生林を残している。また朝鮮半島からの文化も青潮の流れに乗って運ばれてきたもの。つまり、この青潮の恩恵により対馬が形作られたと言っても過言ではない。この島で浴びる海風と海の向こうに朝鮮半島を望む情景は、対馬の歴史そのものかもしれない。
宗家の菩提寺。本堂は豊臣氏の朝鮮出兵時代の1615年に建てられて以降、何度か火災被害に遭い、現在のものは1879年に再建。しかし山門と仁王像は焼失から逃れて残っており、対馬で最も古い建造物の一つ。本堂までは“百雁木”と呼ばれる132段の階段と石灯籠が並び、竹林や杉・楠の木に囲む緩やかな石段は非常に趣がある。また境内には樹齢1200年とも言われる、県指定天然記念物の3本の巨大な杉の木があり、神秘的な雰囲気を漂わせながら圧倒的な迫力を見せる。金沢市の前田藩墓地、萩市の毛利藩墓地とともに日本三大墓地の1つと言われ、国の史跡に指定されている荘厳な墓所と、本堂に安置されている歴代徳川将軍の御位牌からは宗家と将軍家の繋がりの深さや繁栄の歴史を感じる。
広大な内海である浅茅湾は外海と比べて風や波の影響を受けにくく穏やか。特別なテクニックを必要としないシーカヤックに乗って漕ぎ出せば、爽やかな風を感じながら海の上を自由に動き回る冒険家気分に。コースは自由に選ぶことができ、体力やチーム構成などをふまえ、当日の気象も考慮して初心者から経験者まで条件に合わせたコースを提案してくれる。エンジン付きのボートでは近づけない狭い洞窟を探検してみたり、静かな入り江や無人島に上陸してのんびりするのもよし。上級者なら外海へ出ることも可能。平地が少なく急激に盛り上がった山の多い対馬ならではのごつごつとして切り立った岩肌と、透明度の高い真っ青な海が対峙する雄大な自然を間近で体感。自然に心を委ねて思いっきりリフレッシュしよう。
民泊は、受け入れ家庭の生活そのものを一緒に体験するユニークな過ごし方。島のお父さんお母さんと一緒に食卓を囲み、旬にこだわる島ならではの新鮮な海産物や郷土料理に舌鼓を打ちながらあれこれ話を聞いてみよう。一緒に過ごす時間は家族のように、遠慮なく甘えてみよう。お互いに気を許し合い心が近付く体験こそ民泊の醍醐味。民泊の窓口になっている「対馬グリーン・ブルーツーリズム(GBT)協会」は、対馬の自然や暮らし、農林水産物を多くの人に楽しんでもらうために、“海・里・山・暮らし”それぞれ島だからこそできる体験や過ごし方の提案など、対馬の観光の総合案内を担っている組織。現在GBT協会に登録されている民泊受け入れのご家庭は31軒。そのすべてが法律に基づき、農山漁村体験を提供することを条件に正式に旅館業営業許可を取得しているので安心。
深い森の肥沃な土から流れ出す、栄養たっぷりの山水が育む海産物。その中でも、あなごの漁獲量で“日本一”を誇る対馬。特に韓国との国境沖、対馬の西側は程よい潮の流れと最適な水温、そして良質なエビやイカ・深海イワシを餌にして贅沢なあなごが生育される。肉厚で脂のノリと身の締りは格別。雑味がないあっさりさの中に充分な甘みを含む脂のバランスが良く、その旨味をシンプルに味わうためには醤油ではなく塩で食べるのがオススメ。また対州そばは日本のそばのルーツで原種に近い貴重なそばだ。縄文時代後期に大陸から朝鮮半島を経由して対馬に伝わったといわれ、つなぎを用いず、臼でついた天然のそば粉だけでつくるので香りも風味も豊か。そば打ち体験もできるので、舌の上で味わうだけでは満足できない食通は是非挑戦を。